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学校いじめ防止基本方針

はじめに
いじめは,いじめを受けた児童の教育を受ける権利を著しく侵害し,その心身の健全な成長及び人格の形成に重大な影響を与えるのみならず,その生命又は身体に重大な危険を生じさせるおそれがあるものである。
本校は,本校の児童の尊厳を保持するため,市・学校・地域住民・家庭その他の関係者の連携の下,いじめの問題の克服に向けて取り組むよう,いじめの防止等(いじめの防止,いじめの早期発見及びいじめへの対処をいう。以下同じ。)のための対策を総合的かつ効果的に推進するために,学校いじめ防止基本方針を策定するものである。

Ⅰ いじめの定義
いじめ防止対策推進法(以下「法」という。)において,「いじめ」とは,「児童等に対して,当該児童等が在籍する学校に在籍している等当該児童等と一定の人的関係にある他の児童等が行う心理的又は物理的な影響を与える行為(インターネットを通じて行われるものを含む。)であって,当該行為の対象となった児童等が心身の苦痛を感じているものをいう。」と定義されている。
この定義を踏まえた上で,個々の行為がいじめに当たるかどうかの判断は,表面的・形式的に行うのではなく,いじめられた児童の立場に立って行う。
この際,いじめには,多様な態様があることに鑑み,法の対象となるいじめに該当するかどうかを判断するに当たり,「心身の苦痛を感じているもの」との要件が限定して解釈されることのないよう努める。例えば,いじめを受けていても,本人がそれを否定する場合が多々あることを踏まえ,行為が行われたときのいじめを受けた児童や周辺の状況等表面のみにとらわれることなく,いじめを受けた児童の表情や様子をきめ細かく観察するなどして確認する。また,いじめを受けた児童の主観を確認する際に,行為の起こったときのいじめを受けた児童や周辺の状況等を客観的に確認することにも配慮する。
いじめの認知は,特定の教職員のみによることなく,法第22条の「学校におけるいじめの防止等の対策のための組織」を活用して行う。
「一定の人的関係」とは,学校の内外を問わず,同じ学校・学級の児童や,塾やスポーツ少年団等当該児童が関わっている仲間や集団(グループ)など,当該児童と何らかの人的関係を指している。また,「物理的な影響」とは,身体的な影響のほか,金品をたかられたり,隠されたり,嫌なことを無理矢理させられたりすることなどを意味する。けんかは除くが,外見的にはけんかのように見えることでも,いじめを受けた児童の感じる被害性に着目して見極めるようにする。
なお,例えばインターネット上で悪口を書かれた児童がいたが,当該児童がそのことを知らずにいるような場合など,行為の対象となる児童本人が心身の苦痛を感じるに至っていないケースについても,加害行為を行った児童に対する指導等については法の趣旨を踏まえた適切な対応を行う。
好意から行った好意が相手を傷つけてしまったが,すぐに謝罪し,教師の指示によらずして良好な関係に戻った場合であっても,法が定義するいじめに該当するため,事案を法第22条の学校いじめ対策組織へ情報共有することは必要となる。
具体的ないじめの態様は,以下のようなものがある。

○ 冷やかしやからかい,悪口や脅し文句,嫌なことを言われる
○ 仲間はずれ,集団による無視をされる
○ 軽くぶつかられたり,遊ぶふりをして叩かれたり,蹴られたりする
○ ひどくぶつかられたり,叩かれたり,蹴られたりする
○ 金品をたかられる
○ 金品を隠されたり,盗まれたり,壊されたり,捨てられたりする
○ 嫌なことや恥ずかしいこと,危険なことをされたり,させられたりする
○ パソコンや携帯電話等で,誹謗中傷や嫌なことをされる 等

これらのいじめの中には,犯罪行為として取り扱われるべきと認められ,早期に警察に相談することが必要なものや,児童の生命,身体又は財産に重大な被害が生じるような,直ちに警察に通報することが必要なものが含まれる。これらについては,教育的な配慮や被害者の意向への配慮のうえで,早期に警察に相談・通報の上,警察と連携した対応を取る。

Ⅱ いじめの理解

いじめは,どの子供にも,どの学校でも,起こりうるものである。とりわけ,嫌がらせやいじわる等の「暴力を伴わないいじめ」は,多くの児童が入れ替わりながら被害も加害も経験する。また,「暴力を伴わないいじめ」であっても,何度も繰り返されたり多くの者から集中的に行われたりすることで,「暴力を伴ういじめ」とともに,生命又は身体に重大な危険を生じさせうる。
いじめの加害・被害という二者関係だけでなく,以下の点にも留意する。
○学級等の所属集団の構造上の問題
○はやし立てたり面白がったりする存在や,周辺で暗黙の了解を与えている存在の有無
○集団全体にいじめを許容しない雰囲気


Ⅲ いじめの防止等に関する基本的考え方

1 いじめの防止
(1)基本的考え方
未然防止の基本は,児童一人一人が安心して学校生活を送ることができる学校の環境をつくることにある。本校は,その環境をつくるために,全教職員で児童指導の三機能(自己存在感・共感的な人間関係・自己決定)を生かした授業づくり,集団づくり,学校づくりを推進していく。
また,未然防止の取組が着実に成果を上げられるように,学校の取組を定期的なアンケートを実施したり日常的な児童の行動の様子を把握したりして適宜評価し,それを基に改善を検討していくPDCAサイクルに基づく取組を継続していく。

(2)いじめの防止のための措置
  ① いじめについての共通理解
学校全体においていじめについての共通理解を図るため,以下のことを行う。
・ 職員会議や校内研修において,本校児童のいじめの実態,具体的な指導上の留意点,取組の計画や改善点等について確認する。
・ 全校集会や学級活動などで,校長や教職員が,日常的にいじめの問題について触れ,「いじめは人間として絶対に許されない」との雰囲気を醸成していく。また,何がいじめにつながる行為なのか等を具体的に列挙して校舎内に掲示し啓発を図る。

② いじめに向かわない態度・能力の育成
学校の教育活動全体を通じた道徳教育や人権教育の充実,読書活動・体験活動などの推進により,児童の社会性を育むとともに,地域の老人福祉施設や幼稚園訪問,地域の方々の協力を得ての総合的な学習の時間,宿泊体験学習などの社会体験・生活体験の機会を設け,人の気持ちを共感的に理解しようとする態度や自他の存在を等しく認め,互いの人格を尊重しようとする態度を養う。
また,授業や係活動,清掃当番活動など日常の学校生活全般をとおして,自他の意見の相違があっても,互いを認め合いながら建設的に調整し解決していく力や,自分の言動が相手や周りにどのような影響を与えるかを判断して行動できる力など,児童が他者と円滑にコミュニケーションを図る能力を育てる。

③ いじめが生まれる背景と指導上の注意
いじめ加害の背景には,勉強や人間関係等のストレスがかかわっている。このことを踏まえ,授業についていけない焦りや劣等感などが過度なストレスとならないよう,児童一人一人の理解の状況だけでなく心情にも配慮しながら,どの児童も分かる喜びが味わえる授業づくりを進める。
さらに,児童が学校生活の中でストレスを感じた場合でも,それを他人に直接ぶつけるのではなく,運動・スポーツや読書などで発散したり,誰かに相談したりするなど,ストレスに適切に対処できる力を育む。
なお,教職員の不適切な認識や言動が,児童を傷つけたり,他の児童によるいじめを助長したりすることがないよう,指導の在り方には細心の注意を払う。教職員による「いじめられる側にも問題がある」という認識や発言は,いじめている児童や,周りで見ていたり,はやし立てたりしている児童を容認するものにほかならず,いじめを受けている児童を孤立させ,いじめを深刻化させる。また,障害(発達障害を含む)について,適切に理解した上で,児童に対する指導に当たる。

④ 自己有用感や自己肯定感を育む
ねたみや嫉妬などいじめにつながりやすい感情を減らすために,全ての児童が,「認められている,満たされている」という思いを抱くことができるよう,学校の教育活動全体を通じ,児童が活躍でき,他者の役に立っていると感じ取ることのできる機会を全ての児童に提供し,児童の自己有用感を高められるよう努める。その際,教職員はもとより,家庭や地域の人々などにも協力を求めていくことで,幅広い大人から認められているという思いが得られるよう工夫する。また,自己肯定感を高められるよう,教科指導,特別活動などにおいて,達成感や成就感を味わえるような体験の機会を積極的に設ける。
なお,社会性や自己有用感・自己肯定感などは,発達段階に応じて身に付いていくものであることを踏まえ,異校種間等で適切に連携して取り組む。

⑤ 児童自らがいじめについて学び,取り組む
「いじめ問題を考える全校集会」など,児童自らがいじめの問題について学び,主体的に考え,いじめの防止を訴えるような,児童会の取組を推進する。この際,教職員は,全ての児童がその意義を理解し,主体的に参加できる活動になるよう適切な支援や助言を行い,児童の取組を陰で支える役割に徹する。




2 早期発見
(1)基本的考え方
   いじめは大人の目に付きにくい時間や場所で行われたり,遊びやふざけあいを装って行われたりするなど,大人が気付きにくく判断しにくい形で行われることを認識する。たとえ,ささいな兆候であっても,いじめではないかとの疑いを持って,学校の内外にかかわらす地域や保護者と連携を取りながら早い段階から複数の教職員で的確に関わり,いじめを隠したり軽視したりすることなく,いじめを積極的に認知する。
   日頃からの児童の見守りや信頼関係の構築等に努め,児童が示す小さな変化や危険信号を見逃さないようアンテナを高く保つとともに,教職員相互が積極的に児童の情報交換を行い,情報を共有する。

(2)いじめの早期発見のための措置
  ① 実態把握,情報共有
いじめに関する情報を得るために,以下のことに取り組む。
・ 授業,休み時間,給食時間,放課後の時間等の児童の様子に目を配る。
・ 個人ノートや生活ノート,日記等を活用して交友関係や悩みを把握する。
・ 年に3回,学校生活についてのアンケート調査を実施し,いじめの実態把握に取り組む。
・ 放課後などに教育相談の機会を活用して,交友関係や悩みを把握する。
・ PTA総会,学年・学級懇談会,家庭訪問などの機会に,保護者用のいじめチェックシートを活用し保護者から情報を得る。
・ 集まったいじめに関する情報は,生徒指導記録簿に記載するとともに,学年や必要に応じて教職員全体で共有する。
  
② 体制整備とその点検
児童や保護者が,いじめに関して教職員に相談しやすいよう,日頃から教職員と児童や保護者との信頼関係を築くようにする。また,教職員が児童や保護者の悩みを積極的に受け止められているか,学校のいじめの早期発見の体制が適切に機能しているかなどを教師用のいじめチェックシートを活用し,定期的に体制を点検する。

3 いじめに対する措置
(1)基本的考え方
   発見・通報を受けた場合には,特定の教職員で抱え込まず,速やかに組織的に対応する。被害児童を守り通すとともに,教育的配慮の下,毅然とした態度で加害児童を指導する。その際,謝罪や責任を形式的に問うことに主眼を置くのではなく,社会性の向上等,児童の人格の成長に主眼を置いた指導を行う。   
教職員全員の共通理解の下,保護者の協力を得て,必要に応じて関係機関・専門機関と連携し,対応に当たる。

(2)いじめの発見・通報を受けたときの対応
  ① 児童の安全確保
    遊びや悪ふざけなど,いじめと疑われる行為を発見した場合,その場でその行為を止める。児童や保護者から「いじめではないか」との相談や訴えがあった場合には,真摯に傾聴する。ささいな兆候であっても,いじめの疑いがある行為には,早い段階から的確に関わりをもつ。その際,いじめを受けた児童やいじめを知らせてきた児童の安全を確保する。
  ② 組織での対応
発見・通報を受けた教職員は一人で抱え込まず,いじめ防止対策委員会(本校では生徒指導委員会に包含する)で直ちに共有する。その後は,いじめ防止対策委員会が中心となり,速やかに関係児童から事情を聴き取るなどして,いじめの事実の有無の確認を行う。事実確認の結果は,校長が責任をもって学校の設置者に報告するとともに,被害・加害児童の保護者に連絡する。教職員がいじめの情報を学校内で共有しないことは,いじめ防止対策推進法の規定に違反し得る。
  ③ 警察との連携
    いじめる児童に対して必要な教育上の指導を行っているにもかかわらず,その指導により十分な効果を上げることが困難な場合において,いじめが犯罪行為として取り扱われるべきものと認めるときは,いじめを受けている児童を徹底して守り通すという観点から,石巻警察署と連携して対処する。
    なお,児童の生命,身体又は財産に重大な被害が生じるおそれがあるときには,直ちに石巻警察署に通報し,適切に援助を求める。
(3)いじめを受けた児童又はその保護者への支援
  ① いじめを受けた児童への対応
    いじめを受けた児童には,まず担任等が本人の訴えを本気になって傾聴し,親身な対応をする。その際,つらさや悔しさを十分に受け止め,「あなたが悪いわけではない」ことをはっきり伝えるなど,自尊感情を高めるように留意する。担任等は,教師は絶対的な味方であることと,具体的支援策を示す。また,児童の個人情報の取扱い等,プライバシーには十分に留意して以後の対応を行っていく。
  ② 保護者に事実関係を伝える
    家庭訪問等により,その日のうちに迅速・正確に保護者に事実関係を伝える。いじめを受けた児童や保護者に対し,徹底して守り通すことや秘密を守ることを伝え,できる限り不安を除去する。また,いじめを受けた児童が不安を感じるときなどは,複数の教職員の協力の下,当該児童の見守りを行うなど,安全の確保やその他具体的な取組方策を正確に伝えて理解を得るように努める。保護者の心情に配慮した発言を心掛け,保護者との信頼関係を構築するように努める。

 ③ 教育環境の確保
    いじめを受けた児童にとって信頼できる人(親しい友人や教職員,家族,地域の人等)と連携し,いじめを受けた児童が安心して学習その他の活動に取り組むことができるよう,いじめが継続している場合にいじめた児童を別室において指導することとしたり,出席停止制度 を活用したりするなど,いじめを受けた児童が落ち着いて教育を受けられる環境の確保を図る。また,いじめを受けた児童の心理的ケアがさらに必要な場合は,スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー等の専門家,教員経験者・警察官経験者などの外部専門家の協力を得る。
  ④ 支援等の継続
   いじめが解決したと思われる場合でも,継続して十分な注意を払い,折に触れて必要な支援を行う。また,事実確認のための聞き取りやアンケート等により判明した情報を適切に提供する。

(4)いじめた児童への指導又はその保護者への助言
  ① 再発防止
    いじめたとされる児童からも事実関係の聴取を行い,いじめがあったことが確認された場合,複数の教職員が連携し,必要に応じて心理や福祉等の専門家,教員・警察官経験者など外部専門家の協力を得て,組織的に,いじめをやめさせ,その再発を防止する措置をとる。

  ② 保護者への助言
    事実関係を聴取したら,迅速・正確に保護者に連絡し,事実に対する理解と納得を得る。情けなさや自責の念,今後への不安等の保護者の心情を理解した上で,学校と保護者が連携して以後の対応を適切に行えるよう保護者の協力を求めるとともに,保護者に対する継続的な助言を行う。
  

③ いじめた児童への指導等
担任等は,いじめたとされる児童から事実関係の聴取を行い,まずいじめがあったことを確認する。
いじめがあったことが確認されたら,不満等の訴えを聴き,受容的な態度を取りつつも,いじめは人格を傷つけ,生命,身体又は財産を脅かす行為であることを理解させ,自らの行為の責任を自覚させるように促すとともに,いじめられている児童のつらさに気付かせる。なお,いじめた児童が抱える問題など,いじめの背景や理由にも目を向け,当該児童の安心・安全・健全な人格の発達に配慮して指導を行う。
また,当該児童の個人情報の取扱い等,プライバシーには十分に留意して以後の対応を行っていく。指導後もいじめを繰り返すなどのいじめの状況に応じて,心理的な孤立感・疎外感を与えないよう一定の教育的配慮の下,別室等で特別の指導計画による指導を行うほか,教育上必要と認めるときは,学校教育法第11条の規定に基づき,適切に,児童に対して懲戒 を加える。
心身への苦痛や財産上の損害を与える行為を繰り返すなど,犯罪行為として取り扱われるべきものと認められる場合には,警察と連携して対処するとともに,石巻市教育委員会と連携し出席停止制度を活用するなど,毅然とした対応をする。
重大な事案に発展するおそれがあるときは,直ちに石巻市教育委員会に報告する。
ただし,いじめには様々な要因があることに鑑み,懲戒等を加える際には,主観的な感情に任せて一方的に行うのではなく,教育的配慮に十分留意し,いじめた児童が自らの行為の悪質性を理解し,健全な人間関係を育むことができるよう成長を促す目的で行う。

(5)いじめが起きた集団への働き掛け
  ① 「観衆」「傍観者」を作らない指導
いじめを見ていた児童に対しても,自分の問題として捉えさせる。たとえ,いじめをやめさせることはできなくても,誰かに知らせる勇気をもつよう伝える。また,はやしたてるなど同調していた児童に対しては,それらの行為はいじめに加担する行為であることを理解させる。
さらに,学級活動等で,MAPや構成的グループ・エンカウンターの手法を取り入れた仲間づくり活動により仲間との絆の大切さを実感させたり,無視される
などいじめの疑似体験(ロールプレイング)などによりいじめを受けることは苦痛であることについて実感を伴って理解させたりするなど,五感に訴える指導を積極的に取り入れる。

 ② 望ましい集団づくり
    いじめの解決とは,加害児童による被害児童に対する謝罪を指すものではなく,被害児童と加害児童との関係修復,そして,いじめにはかかわっていない児童を含めて,学級や学年の児童との関係が良好になり,望ましい集団活動を取り戻し,新たな活動に踏み出すことをもって判断する。全ての児童が,集団の一員として,互いを尊重し,認め合う人間関係を構築できるような集団づくりを進めていく。

(6)ネット上のいじめへの対応
  ① 不適切な書き込みへの対応
    ネット上の不適切な書き込み等については,被害の拡大を避けるため,直ちに削除する措置をとる。名誉棄損やプライバシー侵害等があった場合,プロバイダに対して速やかに削除を求めるなど必要な措置を講じる。こうした措置を取るに当たり,必要に応じて法務局又は地方法務局の協力を求める。なお,児童の生命,身体又は財産に重大な被害が生じるおそれがあるときは,直ちに石巻市教育委員会に報告し,適切に援助を求める。
  ② ネットパトロール と情報モラル教育
    早期発見の観点から,宮城県教育委員会や石巻市教育委員会と連携するとともに,自校職員によるネットパトロール等を実施することにより,ネット上のトラブルの早期発見に努める。また,児童が悩みを抱え込まないよう,仙台法務局におけるネット上の人権侵害情報に関する相談の受付や「宮城県24時間いじめ相談ダイヤル」,東部教育事務所の相談窓口等,関係機関の取組についても周知する。パスワード付きサイトやSNS(ソーシャルネットワーキングサービス),無料通話アプリ,携帯電話のメールを利用したいじめなどについては,より大人の目に触れにくく,発見されにくいため,予防として,学校における情報モラル教育を進めるとともに,通信企業の携帯電話等の使用に係る「安全教室」や宮城県警の協力による「ネット被害未然防止」の講話(石巻警察署生活安全課に相談)を行い,児童のみならず保護者に対してもネット利用に係る危険性について啓発していく。
(7)いじめの解消の判断
   少なくとも以下の2つの要件が満たされていることを原則とする。
① いじめに係る行為が止んでいること
    被害者に対する心理的又は物理的な影響を与える行為(インターネットを通じて行われるものを含む。)が止んでいる状態が相当の期間継続していること,少なくとも3か月を目安とする。ただし,いじめの被害の重大性等からさらに長期の期間が必要であると判断される場合は,学校の設置者又は学校のいじめ対策組織の判断により,より長期の期間を設定するものとする。

② 被害者児童生徒が心身の苦痛を感じていないこと
いじめに係る行為が止んでいるかどうかを判断する時点において,被害者児童生徒がいじめの行為により心身の苦痛を感じていないと認められること。被害者児童生徒本人及びその保護者に対し,心身の苦痛を感じていないかどうかを面談等により確認する。

4 その他の留意事項
(1)いじめ対策年間指導計画等
   学校基本方針に基づく取組の実施や具体的ないじめ対策年間計画を作成する。作成や実施に当たっては,保護者や児童の代表,地域住民などの参加を図る。

(2)組織的な指導体制
いじめの問題に適切に対応するため,校長を中心とした全教職員が一致協力できる体制を確立する。一部の教職員や特定の教職員が抱え込むのではなく,学校における「いじめの防止等の対策のための組織」で情報を共有し,組織的に対応する。いじめがあった場合の組織的な対処を可能とするよう,平素からこれらの対応の在り方について,全ての教職員で共通理解を図る。
   いじめの問題等に関する指導記録を保存し,児童の進学・進級や転学に当たって,適切に引き継いだり情報提供したりできる体制をとる。
   また,必要に応じて,心理や福祉の専門家,弁護士,医師,教員・警察官経験者などの外部専門家を加える。

(3)校内研修の充実
   すべての教職員の共通理解を図るため,いじめを始めとする生徒指導上の諸問題等に関する校内研修を年間指導計画に位置づけて実施する。


(4)実態に応じた配慮
   発達障害,帰国子女,LGBT,東日本大震災避難者等の児童が在籍する場合は,実態を把握するとともに,校内における共通理解を図り,十分に配慮するものとする。

(5)校務の効率化
教職員が児童と向き合い,いじめの防止等に適切に取り組んでいくことができるように,一部の教職員に過重な負担がかからないように校務分掌を適正化し,組織体制を整え,校務の効率化を図る。

(6)学校評価
いじめへの対応に係る学校評価においては,PDCAサイクルに基づいて評価する。この際,いじめの有無やその多寡のみを評価するのではなく,日常の児童生徒理解,未然防止や早期発見,いじめが発生した際の迅速かつ適切な情報共有や組織的な対応等が促されるよう,児童や地域の状況を十分踏まえた目標の設定や,目標に対する具体的な取組の状況を評価し,その評価結果を踏まえて取組の改善を行う。
 
(7)児童の参加
学校は,学校におけるいじめ防止の取組を児童会にも投げ掛け,児童による主体的な意識付けを図る(たてわり活動,あいさつ運動,ポスターづくり,児童朝会での呼び掛け 等)。

(8)家庭との連携
   保護者は,その保護する児童の生活の様子に変化や不安を具体的に理解する。また,学校では,家庭との緊密な連携の下に,必要な関係機関等にも相談しながら,一体となって問題の解消に努める。併せて,普段から保護者会等において,学校におけるいじめの実態や学校いじめ基本方針について,情報交換し,互いに共有できるよう,連携を密にする。

(9)地域との連携
   社会全体で児童を見守り,健やかな成長を促すため,学校関係者と地域との連携を図る。PTA等と学校関係者が,いじめの問題について協議する機会を設けたり,学校評議員等を活用したりするなど,いじめの問題について地域と連携した対策を推進する。


Ⅳ いじめの防止等の対策のための組織

1 「いじめ防止対策委員会」の設置
  本校におけるいじめの防止等に関する措置を実効的に行うため,「いじめ防止対策委員会」(本校では生徒指導委員会に包含する)を設置する。

2 「いじめ防止対策委員会」の役割
○  学校基本方針に基づいて,取組の実施や具体的な年間計画の作成・実行・検証・修正を行う。
○  いじめの相談・通報の窓口となる。
○  いじめの疑いに関する情報や児童の問題行動等に係る情報の収集と記録,共有を行う。
○  いじめの疑いに係る情報があった時には,いじめ緊急会議を開催し,いじめの情報の迅速な共有,関係のある児童への事実関係の聴取,指導や支援の体制・対応方針の決定と保護者との連携といった対応を組織的に実施する。

3 「いじめ防止対策委員会」の構成
構成員は以下のとおりとする。
<学校の教職員>
・校長,教頭,教務主任,生徒指導主任,養護教諭,該当学級担任,その他         
<心理,福祉等に関する専門的な知識を有する者その他の関係者>
※必要に応じて
・スクールカウンセラー,スクールソーシャルワーカー
・弁護士,学校医,警察官経験者,学校評議員等
<保護者や地域住民等>
※必要に応じて
・保護者の代表(PTA役員等) ・児童の代表  ・地域住民


Ⅴ 重大事態発生に係る調査を行うための組織

1 「いじめ問題調査委員会」の設置
  次に掲げる場合には,その事態(以下「重大事態」という。)に対処し,及び当該重大事態と同様の事態の発生の防止に資するため,速やかに「いじめ問題調査委員会」を設置する。
(1)いじめにより児童の生命,心身または財産に重大な被害が生じた疑いがあ
ると認めるとき
  ① 児童が自殺を企図した場合
  ② 身体に重大な傷害を負った場合
  ③ 金品等の重大な被害を被った場合
  ④ 精神性の疾患を発症した場合など
(2)いじめにより児童が相当の期間,または連続して欠席や別室登校,早退することを余儀なくされている疑いがあると認めるとき
 (3)その他
児童や保護者から「いじめられて重大事態に至った」という申立てがあったときは,その時点で「いじめの結果ではない」あるいは「重大事態とはいえない」と考えたとしても,重大事態が発生したものとして報告・調査等に当たる。児童又は保護者からの申立ては,学校が把握していない極めて重要な情報である可能性があることから,調査をしないまま,いじめの重大事案ではないと断言できないことに留意する。

2 「いじめ問題調査委員会」の役割
 ○ 発生した事案が重大事態であると判断したとき,直ちに市教育委員会に報告
するとともに,当該重大事態に係る調査を行う。
○ 調査を行った時は,当該調査に係るいじめを受けた児童及びその保護者に対し,当該調査に係る重大事態等その他の必要な情報を適切に提供する。

3 「いじめ問題調査委員会」の構成
(1)構成員
市教育委員会の指導の下に,以下の「いじめ防止対策委員会」を母体として,当該重大事態の性質に応じて適切な専門家を加えて,「いじめ問題調査委員会」の構成員を決定する。
<教職員>
 校長,教頭,教務主任,生徒指導主任,保健主事,養護教諭,該当学級担任
<地域の関係者>
 主任児童委員,民生委員児童委員代表,父母教師会代表
<適切な専門家>・・・市教育委員会の指導を受けて
 弁護士,精神科医,学識経験者,心理や福祉の専門家(スクールカウンセラー,スクールソーシャルワーカー等)


Ⅵ 重大事態発生に係る調査

1 事実関係を明確にするための調査の実施
○ 「いじめ問題調査委員会」は,重大事態に至る要因となったいじめ行為が,いつ(いつ頃から),誰から行われ,どのような態様であったか,いじめを生んだ背景事情や児童の人間関係にどのような問題があったか,学校・教職員がどのように対応したかなどの事実関係を,可能な限り網羅的に明確にする。
また,当該事態への対処や同種の事態の発生防止を図る。
○ 本校は,市教育委員会に設置される附属機関に対して積極的に資料を提供するとともに,調査結果を重んじ,主体的に再発防止に取り組む。
 ※ 本校主体の調査では,重大事態への対処及び同種の事態の発生の防止に必ずしも十分な結果が得られないと設置者が判断する場合,又は,学校の教育活動に支障が生じるおそれがあるような場合は市教育委員会において調査を実施する。

2 調査の方法
(1)いじめを受けた児童からの聴き取りが可能な場合
① いじめを受けた児童から十分に聴き取るとともに,在籍児童や教職員に対する質問紙調査や聴き取り調査を行う〈資料7,P30~31参照〉。この際,いじめを受けた児童や情報を提供してくれた児童を守ることを最優先とした調査を実施する。
② 調査による事実関係の確認とともに,いじめた児童への指導を行い,いじめ行為を止める。
③ いじめを受けた児童に対しては,事情や心情を聴取し,いじめを受けた児童の状況にあわせた継続的なケアを行い,落ち着いた学校生活復帰の支援や学習支援等を行う。
④ 調査を行うに当たっては,市教育委員会の指導・支援の下,対応に当たる。

(2)いじめを受けた児童からの聴き取りが不可能な場合
いじめを受けた児童からの聴き取りが不可能な場合は,当該児童の保護者の要望・意見を十分に聴取し,迅速に当該保護者に今後の調査について協議し,調査に着手する。調査方法としては,在籍児童や教職員に対する質問紙調査や聴き取り調査などを行う。

(3)調査を行う際のその他の留意事項
  学校において,いじめの事実の有無の確認のための措置を講じた結果,重大事態であると判断した場合も想定されるが,それのみでは重大事態の全貌の事実関係が明確にされたとは限らず,未だその一部が解明されたにすぎない場合もあり得ることから,「重大事態に係る事実関係を明確にするための調査」として,調査資料の再分析や,必要に応じて新たな調査を行う。ただし,事実関係の全貌が十分に明確にされたと判断できる場合は,この限りではない。

3 調査結果の提供及び報告
(1)いじめを受けた児童及びその保護者に対する情報を適切に提供する責任
○ いじめを受けた児童やその保護者に対して,調査により明らかになった事実関係(いじめ行為がいつ,誰から行われ,どのような態様であったか,学校がどのように対応したか)について説明する。
○ これらの情報の提供に当たっては,他の児童のプライバシー保護に配慮するなど,関係者の個人情報に十分配慮し,適切に提供する。
○ 質問紙調査の実施により得られたアンケートについては,いじめを受けた児童又はその保護者に提供する場合があることをあらかじめ念頭におき,調査に先立ち,その旨を調査対象となる在校生やその保護者に説明する。

(2)調査結果の市長への報告
調査結果については,市教育委員会を通じて市長へ報告する。
上記(1)の説明の結果を踏まえて,いじめを受けた児童又はその保護者が希望する場合には,いじめを受けた児童又は保護者の所見をまとめた文書の提供を受け,調査結果の報告に添えて市教育委員会を通じて市長へ送付する。